-目次-
１. 「見守る保育」とは
２. どのようなメリットがあるの？
３. 具体的にどんなことをするの？
１．「見守る保育」とは
近年、「見守る保育」という言葉を耳にする機会が増えてきました。子どものお世話をするという従来の保育のイメージとは少しちがうこの「見守る保育」ですが、いったいどういうものなのでしょうか。
「見守る保育」とは簡単に言ってしまうと、子どもたちに指示や指導を過度に与えるのではなく、子ども自身の興味や関心に基づいた活動を尊重し、自主的な学びや成長を支援する保育のことです。
「大人が子どもに教える」のではなく、「学んでいくのは子ども自身で、大人はそれをサポートする」というイメージです。大人はつい、先回りをして答えを与えてたり助けてしまいたくなりますが、「見守る保育」はそうではなく、子どもたちが自ら考え、試し、失敗しながら学ぶ過程を大切にします。もちろんただ見ているだけではなく、保育者は子どもたちの活動を注意深く観察し、必要に応じて適切なタイミングで援助を行います。
こうした「見守る保育」は、子どもの主体性や自主性を尊重し、成長を促す ための重要な考え方として注目されています。
2．どのようなメリットがあるの？
教えるのではなく、基本的には子どもが主体的に動き、保育者は必要に応じて必要なサポートのみを行う「見守る保育」ではどのようなメリットがあるのでしょうか？
主体性と自主性の育成: 自分で考え、行動する経験を通して、主体性や自主性が育まれます。
探求心と創造性の向上: 自分の興味関心に基づいて活動することで、探求心や創造性が豊かになります。
自己肯定感の向上: 自分でできたという達成感を積み重ねることで、自己肯定感が高まります。
問題解決能力の発達: 困難な状況に直面した際に、自分で考え、解決しようとする力が育まれます。
社会性の発達: 友達との関わりの中で、協力したり、意見を交換したりする社会性が育まれます。
３．具体的にどんなことをするの？
これからの社会では、より主体性や問題解決能力が求められることになると言われています。「見守る保育」ではそうした能力を伸ばし、自己肯定感を高めることが出来る、まさに現代に求められている保育といっても過言ではないかもしれません。
「見守る保育」がどのような考え方に基づきどんなことをしているのか、その一部をご紹介します。
子どもの「やってみたい」を尊重する
子どもたちに何がやりたいかを問いかけ、子どもたちが活動や遊びを大切にし、できる限り自由に挑戦させできる時間や空間づくりが行われています。具体的には「子ども会議」(子ども同士で話し合って物事決める方法)で様々なことを決めていたり、子どもの意見を聞く、子どもの意志を確認するなどを都度行っていきます。
すぐに手を出さない
何か困っている様子でも、すぐに助けるのではなくまずは自分で解決しようとする力を信じて見守るようにしています。
問いかけを大切にする
答えを教えるのではなく、「どうすれば良いと思う？」など、まず問いかけます。子どもの出した考えを尊重し、必要であれば一緒に考えます。例えば、苦手なことや失敗したことも、なぜ苦手なのか、どんな事が苦手なのか、またその理由やどうやったらうまくいくかを子ども自身が考え、大人はポジティブな方向に声掛けを行います。
例えば、ニンジンが苦手であれば、「どんなところが苦手なの？」と理由を聞きます。「味が苦手」なのであれば「じゃあどうすれば食べられると思う？」と聞くと「…すごく小さくしたら食べられるかも」と、自分で解決策を考えだしてくれるので、「じゃあ小さくして挑戦してみようか」と提案する、などです。
問いかけはごく小さい日常生活で行えるものです。例えば絵本を読んだ後であれば 「どのキャラが好き？」「どこの場面が面白かった？」など、その都度子どもの意見を求めるようにすることが出来ます。「今日は何をして遊ぶ？」なども問いかけのひとつです。
見守る保育は、子どもたちの無限の可能性や子ども自身が持っている力を信じ、その成長を温かくサポートする保育です。保護者の方は「見守る保育」という考え方に慣れるまでは、つい心配になってしまう事もあるかもしれませんが、子どもの自主性を伸ばしたいのであればすぐに助けてあげたい気持ちをぐっと我慢して、子ども自身の考えや行動を「見守る」ということを意識してみてください。見守る、あるいは待つというのは言葉のイメージよりも実際に行うことは難しく感じるかもしれませんが、家庭の中でも、ちょっと意識して声掛けの仕方を変えるだけでも効果的ですので、是非取り入れてみてください。
