-目次-
1. 「ワガママ」と「主体性」の違いとは
2.主体性の芽を伸ばすためにできること
「おもちゃを独り占めする」「お店で欲しいものをねだる」「親の言うことを聞かない」などなど、ワガママのように思える子どもの主張に疲れて悩んでしまっている方もいるかもしれません。しかし、保育の現場で長年議論されてきた「主体性」と「ワガママ」の違いを知ると、保護者が子どもの「ワガママ」だと感じていた行動こそが、子どもたちの「生きる力」の芽、すなわち「主体性」の表れであることがわかってきます。

1.「ワガママ」と「主体性」の違いとは
では「ワガママ」と「主体性」はどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれを辞書でひいてみると以下のように書かれています。
主体性:他人を動かそうとする前に、自分自身を動かそうとする力
ワガママ:自分の言動で、他の誰かを動かそうとする意図や行動
この定義から考えると、子どもが「あれがしたい!」「これは嫌だ!」と抵抗している時は、多くのケースでは「保護者が子どもに”こうしてほしい”という意図」つまり「親のワガママ」で子どもを思い通りに動かそうとしている状態で、それに対する反発であることが多いのです。子どもの「ワガママ」だと思われていた行動が、実は大人が大人の事情や都合で子どもに言うことを聞かせようとしたこと(=大人のワガママ)に対する反発だということです。
しかし、その反発が主体性の芽であったとしても、子どもの全ての欲求をかなえることは現実的には不可能です。
では、どうしたら良いのでしょうか。
2.主体性の芽を伸ばすためにできること
子どもの主体性を守るためには、保護者にできることは、自分が子どもへ「指示」をする役割ではなく「サポート」する役割であると視点転換をして、子どもへの声掛けを工夫することです。
具体的には、「〇〇しなさい」などの指示ではなく、未来形の問いかけに変えます。
例:NG「早く着替えて」 OK「あと何分で着替え終わる?」
言われたからやるのではなく、問いかけられることで子どもが自ら考えて行動するという方向へ促す、ということです。
また、子どもが「〇〇がほしい!」と主張する時には、それが理不尽な要求だったりワガママに思えたとしても頭ごなしに否定するのではなく、いったん子どもの気持ちを受け止めてから、次に「それをかなえるためにはどうしたら良いと思う?」と問いかけ、やはり子ども自身に考えさせるように促すことで、子どもは「自分の願いは自分で叶えるもの」という自立心と問題を解決する方法を学んでいくことにつながるのです。

自分で考えて行動をする主体性を持っているかどうかが、この先の社会を生き抜くためにとても大切なことになってくるように思います。大人は子どもとは時間感覚も違い日々の生活があるため、子どもに考えを促し自ら行動させるような時間と気持ちの余裕がないという現実があると思います。しかし、大人からすると非効率に思える試行錯誤こそが未来の「問題解決力」を育むのだと意識して、子どもの「考える時間」を大切にすることがとても重要です。

